採用面接で、事前にどんなに練習をしても本番に緊張のしすぎで上手に話せなかったり、想像していなかった質問を受けて答えられなかったりすることはありませんか。
当日に何が起こるか分からない面接を上手く乗り切るために、どんな準備をすれば良いのでしょうか。
筆者が提案する事前準備のコツは、NG行動をしないことを中心に準備をするというものです。
そのNG行動とは何か、長年新卒採用の面接官をしていた筆者がこれまでの経験をもとに採用者目線で解説します。
面接は減点方式に始まり加点方式で終わる
そもそも、面接って何基準で採点されるんですか?
簡単に言うと、減点方式で問題がなければ通過されるって感じかな
一次面接には多くの就活生が参加し、大企業の場合は5000人以上と一次面接をすることもあります。
面接官はその中からさらに絞り込みを行うのですが、その時は特に優れている学生を残すことではなく、次の面接に進ませたくない学生を振るいにかけることを優先します。
なんでふるいにかけてダメは学生を落とす方式なんですか?
なぜなら、たった数十分の面接だけでは全てを判断することはできないためです。
そのため、一次面接で面接官をする総務や人事の担当者が、学生のアラ探しをする減点方式で審査をするというのが実態になります。
最終面接に向けて回を重ねるにつれ、面接官には会社の役職者や役員が入るようになります。
その段階で残っている就活生は既に最低限のレベルは満たされているため、他より優れている点はあるのか、加点方式で審査をするようになります。
このように、同じ面接であっても前半と後半では審査ポイントが異なるのです。
全てを完璧にしようと神経をすり減らしてしまう就活生がいますが、一次面接であればNG行動をしないことに集中すれば良いと考えれば、気持ちが楽になるのではないでしょうか。
ちなみに、面接官が面接の際に何を見ているのかはこの記事で紹介しています。
スキルや経験よりも人柄を見るのが新卒採用
新卒採用面接で面接官が見極めようとしているのは、ずばり「早期退職しないかどうか」の一言に尽きます。
就活生があまり聞きたくない事実かもしれませんが、新入社員の約3割が入社3年以内で退職するという調査結果があります。
だから退職しないような学生を選ぶんですね
新卒採用にはかなりの労力と経費が掛かるため、企業側はせっかくの努力を無駄にしないように早期退職は避けたいという本音があります。
早期退職の可能性が見える学生は選ばれにくいといえます。
新卒採用における注目点について、企業に対するアンケート結果は次のとおりでした。
1位:明るさ、笑顔、人当たりの良さ(約6割)
2位:入社したいという熱意(約4割)
3位:素直さや伸びしろ等の成長可能性(約4割)
4位:職場の空気にあうか(約3割)
5位:まじめさ、誠実さ(約2割)
結果を見ると分かりますが、面接官はスキルや経験面ではなく就活生の人柄に注目しています。
特に職場や人間関係に対して影響の大きな要素ばかりですね。人柄に難ありと判断されないように注意をすることが、面接での第一歩なのです。
弊社でもこの点を意識した採用シートを作成してポイントずけした上で採用活動を行っています
前半戦の面接は第一印象で決まる
面接って緊張するから苦手…
採用面接というと堅苦しい印象がありますが、要は人と人との会話です。
初対面の人と話す時、あなたは相手の何を見ますか?もっと話したいと感じる人はどんな雰囲気の人ですか?どんなことをされると嫌な気持ちになりますか?
面接を別物として考えるのではなく、初めて会う人との会話で何に気を付ければ良いかを考えてみましょう
私が面接官だった時、一次面接で第一印象が悪い学生は二次選考から除外していました。
理由は、相手を不快にさせないということは物事の基本であるためです。
そして、前述したように一次面接においては基礎的な物事ができない学生を探し出すことが中心ですので、大量の学生の選考を効率よく進めるためでもありました。
また、裏事情として無愛想な学生を二次面接に進ませてしまうと、二次面接を担当する先輩社員からの評価が悪くなってしまうんですよね…
相手を不快にさせる学生を通過させることで職務怠慢を疑われてしまうってことなんですね
では、第一印象を決定づけるNG行動とは何でしょうか。
基本的な挨拶や身だしなみなどの礼儀作法ができていない
就活生は、面接前に礼儀作法に関しては勉強をしているため、明らかな無作法をすることはまずありませんが、些細な行動で素が出てしまう学生がいます。
面接会場の中だけを気にすれば良いと考えるかもしれませんが、面接前の待機場所といった面接会場以外でも見られていると考えましょう。
礼儀作法なんて当たり前と思うかもしれませんが、入社後に組織の一員としてふさわしい行動をとれるかどうかが判断されるポイントになります。
笑顔が全く見えず相手に暗い印象を与える
緊張している就活生にとって、採用面接で笑顔を見せることは決して簡単ではありません。
ですが、第一印象というものは話の内容よりも、視覚で得た情報で決まりやすい性質があります。
たしかに、第一印象で同じことを言ってても説得力だったりが違ってきますもんね
そのため、意識的に笑顔を作るように心掛けましょう。いつもよりも声を高めにすると明るい印象になり、相槌を打つと積極的に話を聞いている印象を与えることができます。
また、話しづらい印象を相手が受けてしまうと、職場で人間関係を築けるのか不安を持つ可能性もあります。
早期退職をする新入社員の退職理由の上位は人間関係の行き詰まりであることが多く、面接官は職場での人間関係に対応できるかどうかを重視することが最近は多いです。
コミュニケーションが苦手な人は、人と関わるのが好きな人を演じると考えれば良いかもしれません。
後半戦は志望理由と人柄で決まる
最終面接の段階まで進むと、面接官は人より優れている面が何かを見つけることが中心となり、話の内容により注目するようになります。
筆者の経験では、最終面接まで進む学生の評価は全員ほぼ同レベルの状況で甲乙がつけにくいため、その人物に魅力があり熱意が伝わるかどうかで判断していました。
つまり、何も伝わらない話をすることは最大のNG行動なのです。
よくある例を挙げて説明しましょう。
具体的に何がしたいか伝わらない志望理由を話す
会社案内の抜粋版のような志望理由や、やたらスケールの大きい話をされると、面接官は興味を失います。
社会貢献や地域貢献といったフレーズがよく登場しますが、それは他の会社にもいえることであり、その会社でなければならない理由にはなりません。
社会貢献とはよくないんだ…
ポイントは、他社ではなくこの会社を選んだ理由と、自分が何をしたくて入社するのかをより具体的に話せるどうかです。
これは、入社することで目標達成と捉えるのではなくその先を見ている学生は、入社後早期退職をしにくい傾向にあるため。
たしかに、会社に入ることが目的の人よりも入社が一つのステップって考えている方が燃え尽きることがないもんね
人柄が伝わりにくいエピソードを話す
面接での質問には必ず意図があります。
単なる事実確認をしているのではありません。
質問のほとんどは、学生の答えの中から人柄を探ろうとしているのです。
何を伝えたいのかを明確にした上でエピソードを構築するといいでしょう
もし人柄が分からなかった場合、面接官はリスク回避のため不採用にすると考えた方が良いでしょう。
面接中は常に自己PRの時間だと考えて下さい。質問に対して答える時は、常にあなたの良いところを入れるように意識しましょう。
面接官の立場になって準備をしてみよう
面接は面接官と就活生とのコミュニケーションの場ですので、相手に不快感を与えることは最も避けなければなりません。
あまり意識をしないかもしれませんが、話の長さに気を付けることも重要です。面接は就活生のアピールの場ではありますが、一方的に自分が主張することだけを考えていると、話が長くなり相手は聞き疲れてしまいます。
相手を気遣いながら準備をすることで、NG行動を避けるようにしましょう。
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