就職活動において、例年学生が苦労することとして挙げられるうちの一つが面接です。
実際に、21年卒の学生を対象として就活生が抱えていた悩みについて調査が行われました。
その結果は次のとおりです。
1位:面接が苦手
2位:自己分析ができない
3位:エントリーシートを作るのが大変
※「2021年卒学⽣対象インターンシップ及び就活意識に関するアンケート調査」(HR総研)
「面接が苦手」と答えた卒学生はなんと約6割だったのです。
面接のどこに難しさを感じるかは個人によって違いがあります。
「人と話すことが苦手だから」「緊張すると何を話しているのか分からなくなる」「予想外の質問に上手に答えられない」など、さまざまな理由がありますが面接に対する苦手意識をなくす一番の方法があります。
それは、面接官が何を見ているのかを知ることです。
新卒の採用で面接官が見ているポイントを掴んだ上で準備をするとしないとでは大きな差があります。
この記事では、面接官が面接時に何を見ているのかに着目し、面接を少しでも上手に乗り切るポイントを解説します。
この記事を書いた人
面接官が新卒採用で見ているのは第一印象と人柄
面接官は、面接に現れた学生のどこを見ているのでしょうか。
学生時代に勉強したこととか、取得した資格ですか?
面接時に学生のどこを見ているのか、面接官へ行われた調査結果が次のとおりです。
1位:明るさ、笑顔、人当たりの良さ(約6割)
2位:入社したいという熱意(約4割)
3位:素直さや伸びしろ等の成長可能性(約4割)
4位:職場の空気にあうか(約3割)
5位:まじめさ、誠実さ(約2割)
※「2019年卒マイナビ企業新卒採⽤予定調査」(マイナビ)
調査結果から分かるように、実は面接官は最初に受けた印象や会話や行動からにじみ出る人柄を知ろうとしています。
私が面接官をしていた時も、話の内容を踏み込んで深く考えることはしませんでした。
なんでですか?
理由は、話の内容がしっかりと事前準備されていれば大きな問題はなく、言い方を変えれば無難な内容のため人柄があまり伝わりにくいという一面があるからです。
じゃ何を見ているんですか?
面接官は話の内容よりも、最初の第一印象や礼儀作法、表情や声の大きさ、面接官との会話の様子といったような学生の人柄が表れる面を見ていることがほとんど。
なぜなら、これまでの経験や技術が問われる中途採用面接ではなく、実務経験のない新卒採用面接だからです。そのため、学生のスキル面を重視するよりは、企業風土や先輩社員と合う人柄かどうかが判断材料になります。
新卒だからこそポテンシャルを見る部分が大きいかも
以上を踏まえて、面接では上手に話そうとするよりは、自分の良いところが伝わるように心掛けましょう。
そして、面接という限られた時間の中で、面接官に良い印象が残るように立ち居振る舞いに気を付けましょう。
新卒採用で面接官が知りたいのはすぐにやめないかだけ
採用担当者にとっても最も避けたいことは?と質問すれば、ほとんどの人が「早期退職」と答えるはずです。
なんで早期退職が嫌なんですか?
これは、採用活動に費やした労力・時間すべてが無駄に終わり、もう一度同じことを繰り返す手間が発生するためです。
また、裏事情としては人事社員のKPIとして採用した学生の離職率があるので新卒社員の早期退職が面接官の評価に響くという部分も大きいかも
そのため、面接官にとって、面接では早期退職しない人かどうかを見極めたいというのが本音です。
ただ、これは逆に自分をすぐに退職しない人と面接官に感じさせれば内定率が上がると考えられます。
けど、どうやってそのような学生を判断してるんですか?
じつはある調査で、入社後3年以内の退職率が約3割であることが分かっています。
その理由の上位は、人間関係の悩み、労働条件の不一致、肉体的精神的に限界となった、自分のやりたい仕事ではなかったというものでした。
これらの理由は、採用担当者も自社におけるデータを把握しています。
そこで、面接官はこれらの理由に合致するリスクのある学生かどうかを見極めようとしているのです。
つまり、ミスマッチのリスクが少ないと思わせれば採用されます。
集団活動をしたエピソードで人間関係を築けるとアピール
社会人経験のない新入社員が上司や先輩といった明確な上下関係のある職場に飛び込むことは、想像以上の苦労を伴います。
これは、世代、性別、役職さまざまな違いがある中を、多方面に気を遣いながら仕事をしなくてはならないからです。
学生の時は4歳上の人と接することしかないけど、社会人になると40歳上の人と話すことも多いからね
会社で働くということは、そんな環境の中で毎日を過ごすことになります。
そこで、人事の本音としてこの環境に対応できることをアピールしてほしいです。
そして、こういった状況でも問題なく過ごせることを面接官に理解してもらうためには、集団活動をしたエピソードが最も効果的です。
私も学生の過去からしか将来のリスクを判断できないので、集団活動をしていた人を積極的に採用していました。
ただ一員として参加しただけでなく、何らかの役割を担っていたのであればその点を強調してください。
これは、役割があるということはメンバー間での調整も発生するため、人との関わりが多かったと見られるからです。
結局、人事が人を採用する時には直感ではなくて、客観的な証拠をもとに退職リスクの小さい学生を採用します。
これは、客観的な証拠がないのに採用して、その学生が退職してしまったら責任の所在がモロに採用した人に来てしまうためです。
抽象的な志望動機ではなく入社後にしたいことを具体的に挙げる
就活生にとってのゴールは就職することだと勘違いしたまま入社し、入社後に自分のやりたいことが分からず、指示された仕事を日々こなすだけとなった結果退職する新入社員が少なくありません。
これは、面接を通過するためだけの志望動機しか考えていないからです。
面接官はそれを必ず見抜きます。
どうやって見抜くんですか?
これは、簡単で志望動機が会社案内の抜粋のような内容であったり、やたらと大規模な話をされると、表面的な理由しかないのだと判断します。
そのため、志望動機は抽象的なものではなく、入社したら〇〇がしたいといったような聞き手が具体的に想像できる内容にしましょう。
このような志望理由を言うには、その志望企業の調査と自分の明確な目標設定が必要です。
苦労エピソードだけではなくどう解決させたのかを説明する
社会人になると、辛くても嫌でも頑張らなくてはならないことの連続です。
面接官はその時に乗り越えられる人かどうかを知りたいと思っています。
それを探るために、「学生時代に苦労したことは何ですか」という質問をするのがお決まりです。
質問の意図は、苦労したこを知りたいのではなく、どう対処したのか教えて欲しいというものです。
そういう意図だったんだ
ですから、問題解決をしたときの経験が入社後にどのように活かせるのか、企業側に自分を採用するメリットがあると感じられるように話を進めましょう。
また、よくある「何かストレス解消法はありますか」という質問ですが、これは日々のストレスに耐えられるのかを聞いているのではなく、上手にセルフコントロールできるのかを確認しています。
ストレスは日々発生するため、ストレスの根源を無くすことや、ストレスを完全にゼロにすることも難しいです。
ストレスを消そうとするのではなく、ストレスと上手に付き合っていくことができる人は、物事を0か100ではなく一番現実的で効率の良い方法を選択する考え方ができるということです。
そのため、忍耐力があるというよりは、自分なりに工夫して無理なく対処できるというアピールをした方が、現実的に問題解決力が高いと判断されるでしょう。
新卒の面接は自分を売り込むという一種の営業活動
営業とは何かについて提案やアピールをし、相手にとっていかにメリットがあるかを説明する行為ですが、面接もまさに一種の営業活動です。
就活生は企業に対して、自分の魅力や能力をアピールし、自分を入社させるとどんなメリットがあるかをプレゼンします。
企業はそのプレゼンを聞いて、長くこの就活生を雇用する利点は何かを検討します。
就活生は売り込む相手である企業の立場にたって、プレゼンの中身に魅力があるかどうかを吟味することが大切です。
事前の企業調査、自己分析、受け答えの練習など準備は膨大にありますが、準備をしっかりすれば面接に対する不安感は軽減されるでしょう。
また、最近は採用したにもかかわらず離職してしまう可能性を小さくしたいので、人事社員が積極的にスカウト型の就活アプリを使って学生を採用しています。
特に、オファーボックスやdodaキャンパスはほとんどのベンチャーから東証1部上場企業まで使っているのではないかというくらい、繋がりのあるほかの会社の人事さんも使っているので登録しておくことをおすすめします。
コメント